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TOLTA 3 (2008年11月)

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周知のとおり日本は島国です。これは同時に山国であることも意味します。海の上に島が出現するとは、大陸棚がうごき、海底が隆起してやまがうまれるということです。そのため日本と名づけられたいくつかの群島には、たくさんの隆起した地形、すなわち山が連なっています。これらの山は群島の文化形成に重要な役割を果たしてきました。TOLTAは今回、これら日本の山の歴史にあらたな1ページを付け加えました。この本の表面に隆起したトルタ山は、標高約5ミリメートル、直径140ミリメートルの美しい円形で広がっています。そして裏面には、トルタ山と同規模のトルタ谷が、白く美しい景観を誇っています。

 

TOLTA3=トルタサン、だからトルタ山、という単純な発想で、特集「山」が決定した。平たい紙の上にいかにして山をつくればいいかという問題にも、立体の山をつくるという単純な発想で回答を与えた。「TOLTA 2」と同様、作品を掲載した本体はオフセット印刷し、その外側に手作業で円を切りぬいたスチレンボードを積み重ね、山の地形を作った。一方、山を切りぬいたボードを重ねることで出来上がる地形を谷として、裏側に使用している。表面に山、裏面に谷をもつこの本は、寄木のようにぴったりと積み上げることができる。2008年11月11日の文学フリマで100冊を積み上げて販売したら、すごい勢いで売れた。単独で初の出展であり、このような反応はまったく予想していなかったので、とても嬉しかったのを覚えている。

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「TOLTA 3」(トルタ・サン)
2008年11月11日発行
発行部数 300
価格:1000円
責任編集+装丁+デザイン 河野聡子
スチレンボード、132ページ

ゲスト:黒川陽子、佐次田哲、福田純子、文月悠光

 
Contents:
■エッセイ集 山の思い出
■詩「横断歩道」文月悠光 「失われた言葉による二つの唄」福田純子
「パンダ・チャント2」河野聡子 「特別な踊り」山田亮太
「計算機による自動詩作のススメ」佐次田哲
「セミオロジー」南谷奉良
■短編小説 「ふらふら往復書簡」黒川陽子 「フーガ」南谷奉良
■戯曲 「尾形亀之助ではない」 山田亮太
■コラム 「詩と羅列」/「朗読について」/「動く本」河野聡子
■その他 「O君とL君の山登り」山田亮太
 
 
 

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