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「おそいおそいおそい詩」@海老名(2021.11.21〜12.4)が日本空間デザイン賞・KUKAN OF THE YEARを受賞しました。

「おそいおそいおそい詩」は、複数の詩人によって、時間をかけて「おそくおそくおそく」作成された詩が、夜景の中でおそくおそくおそく発表されるというもので、アーティストの高橋匡太さんと、詩のデザインレーベル・オブラートのコラボレーション企画です。2016年の二子玉川(東京)2021年の海老名(神奈川)また2022年現在は、道後温泉(愛媛)で開催中の「道後オンセナート」にて、4月末から来年2月まで約10か月間のプロジェクトを行っています。

道後オンセナート「おそいおそいおそい詩」

TOLTAの河野と山田は2016年の企画から携わり、継続して詩の制作を行っていますが、このたび、2021年の海老名での展示が、DSA(一般社団法人日本空間デザイン協会)とJCD(一般社団法人日本商環境デザイン協会)共同主催の「日本空間デザイン賞」のグランプリである、KUKAN OF THE YEARを受賞しました。

日本空間デザイン賞2022

おそいおそいおそい詩

プレスリリースより、「おそいおそいおそい詩」審査員選評を引用します。

おそいおそいおそい詩:遠山 正道 (株式会社スマイルズ 代表取締役社長)
日本空間デザイン賞とは、JCDとDSAが空間デザインに対して“与える”賞である。しかし本作は、われわれが気づきを“得る”賞になったと感ずる。すなわち、
• デザインされるべき物理的な空間は、ない
• 空間が、文字あるいは文学によって成立している
• 特定のデザイナーは不在だが、むしろ人の要素しかない
• 費用対効果の指数があるならば、全応募作の中でもトップであろう
• 日本建築学会賞では与えられ得ない
5年に一度のDocumenta15で提唱されたのは「Make Friends No Art」。権威ではない、一人ひとりのフラットなつながり。階級の権化のような欧米アートの世界最大の祭典においてすら、非中央集権のムードに満ちており、そのムードは他領域にも伝播されるだろう。
昨今の若者と対話をすると、安定を求めるその背景にはソーシャルマインドがデフォルト化し、マッチョな商業主義に嫌悪すら抱いているように感ずる。資金をもつビッグクライアントが著名デザイナーに依頼するリッチな空間のことよりも、一人ひとりの足元の幸福や地球や全体や隣人のありさまに関心が向き、そしてそれに自らがどう関われるかを、リアルに求めているようだ。
市場を形成する生活者にも、生み出す側の内部にも、そのような若者がまもなく過半を占めることになる。2022という現在、そしてこれからに向けて、JCDとDSAはどういう“空間デザイン”を志向するのか。「おそいおそいおそい詩」は、一人ひとりのつながりと実行によって、今の足元からきっと先へ通じる一筋を照らしてくれた。ありがとう。

「おそいおそいおそい詩」

ディレクション : 髙橋匡太 / 株式会社髙橋匡太
デザイン : 川口怜子 / 株式会社髙橋匡太
プロデュース : 山田正樹 / アートフロントギャラリー
プロジェクトマネジメント : 須田禅 / アートフロントギャラリー
コーディネーション : 龔珏 / アートフロントギャラリー
ポエトリーディレクション : 松田朋春 / オブラート、グッドアイデア
詩 : 河野聡子、髙塚謙太郎、中家菜津子、夏野雨、山田亮太
プロダクション : アートフロントギャラリー
クライアント : 小田急電鉄
撮影者 : 下司悠太